第54回 社名のつけ方とひみつきちJの社名の由来

この回では、北岡秀紀氏の会社名である
「株式会社ひみつきちJ」を例に、
「機能性」と「思い」をどう両立させるかという、
ブランディングの根幹に関わる社名戦略について語られています。

#### 1. 社名の役割を明確にする

北岡氏は、社名には大きく分けて2つの方向性があるとしています。

* **機能性重視:**

「何を売っているか」がひと目でわかる名前(例:〇〇マーケティング、△△コンサルティング)。

信頼を得やすく、SEOや集客の面で有利ですが、事業内容を広げにくいというデメリットもあります。

* **独自性(アイデンティティ)重視:**

会社の理念や「あり方」を象徴する名前。

一度覚えられると忘れられず、
ブランドとしての愛着が湧きやすいのが特徴です。

#### 2. 「ひみつきちJ」に込められた意味

北岡氏の会社名「ひみつきちJ」の由来には、自身のビジネス哲学が反映されています。

* **ひみつきち:**

子どもの頃、
ワクワクしながら何かを企んだ「秘密基地」のような場所でありたいという意味。

経営者が日常の雑務から離れ、純粋に「攻め」の戦略を練るクリエイティブな場を提供したいという思いが込められています。

* **J:**

「Japan」のJであり、
かつて日本が持っていた
「職人気質のこだわり」や
「丁寧な仕事」を大切にしたいという敬意を表しています。

#### 3. 社名を決める際の「実務的な基準」

感性だけで決めるのではなく、
以下の実務的なチェックポイントをクリアすべきだと説いています。

* **覚えやすさと聞き取りやすさ

電話口で何度も聞き返されるような名前は、
コミュニケーションコストを上げます。

「ひみつきち」のように、
誰もが知っている単語を組み合わせるのが有効です。

* **ドメインや商標の確認:**

良い名前を思いついても、
URLが取得できなかったり、
他社の商標を侵害していたりしてはビジネスになりません。

* **ストーリー性:**

「なぜその名前なのか?」と聞かれたときに、
相手を惹きつけるエピソードを語れるか。これが強力な自己紹介のツールになります。

#### 4. 社名は「器」であり、中身が価値を作る

北岡氏は、
「社名そのものに魔法の力があるわけではない」という冷静な視点も示しています。

結局のところ、社名は「器」に過ぎず、
そこにどのような実績や信頼を積み上げていくかが重要です。

あまりに悩みすぎて立ち止まるよりは、
ある程度の納得感を持って決めたら、
あとはその名前に恥じない事業を作り上げることに集中すべきだと促しています。

#### 5. 結論:社名は「理想の顧客」へのラブレター

北岡氏は、社名を聞いたときに
「面白そう」と思うか「真面目そうだ」と思うかによって、
集まってくる顧客の層が変わると締めくくっています。

自分の理想とするクライアントが、
その社名を見てどのような印象を持つかを逆算して設計すること。

社名は単なる記号ではなく、
「自分たちが何者であるか」
を世界に宣言する旗印であると説いています。

まとめ

この回のポイントは、
「論理的な使い勝手」と
「情緒的なストーリー」を
掛け合わせるという点です。

北岡氏自身の
「ひみつきちJ」
という一見遊び心のある名前が、
実は
「経営者の戦略拠点」
という深いコンセプトに裏打ちされているように、
名前の裏側に
どれだけの哲学を込められるかが
ブランディングの鍵となります。