この回では、
北岡秀紀氏が
飲食業界などで普及している
「タブレットオーダー」(セルフオーダー)
を取り上げ、
「効率化」が必ずしも
「正解」ではないという、
サービスの本質と
ブランド設計の観点から解説しています。
#### 1. タブレット導入の真の目的を履き違えない
多くの経営者が
「人件費削減」を目的に導入しますが、
北岡氏は
「顧客体験の質(UX)」
がどう変わるかを最優先に考えるべきだと説いています。
* **効率化の功罪:**
注文の聞き間違いがなくなり、
ホールスタッフの歩数を減らせるのはメリットですが、
それが
「店としての温かみ」や
「単価アップのチャンス」
を奪っていないかを検討する必要があります。
#### 2. タブレット注文に「適した」店:機能性重視
* **低単価・高回転の店
スピードと正確性が求められる
ファストフードや大衆居酒屋などは、
タブレットの方が顧客も
「自分のタイミングで頼める」ため、
満足度が上がります。
* **メニュー数が多い店
複雑なトッピングや
多種多様な品数がある場合、
画像付きのタブレットは
視覚的なガイドとなり、
注文のハードルを下げ、
結果的に客単価を上げる
「優秀な営業マン」になります。
#### 3. タブレット注文に「不向きな」店:情緒・提案重視
* **高単価・体験型の店
顧客が「空間」や「接客」にお金を払っている店では、
タブレットは興ざめな存在になります。
スタッフとの会話を通じた
「今日のおすすめ」や、
ワインの提案といった
「付加価値の提供」ができないため、
ブランド力が低下します。
* **カスタマイズや相談が必要な店
「少し味を薄くしてほしい」
「これに合う料理は?」
といった
細かなニーズに応えることが強みの店は、
デジタル化によって
その最大の武器を捨てることになります。
#### 4. 「接客」を仕組みとして捉え直す
タブレットを導入するなら、
空いたスタッフの時間を
どう使うかが重要です。
* **再配置の思考
注文を取る時間を削った分、
料理の説明に時間を割くのか、
あるいは清掃や気配りに充てるのか。
「楽をするため」ではなく
「より高度な接客をするため」
の導入でなければ、
店は衰退すると指摘しています。
#### 5. 結論:デジタル化は「コンセプト」への投資である
北岡氏は、
タブレット導入を単なる
「ツールの追加」ではなく、
「自店が提供する価値を再定義すること」
であると締めくくっています。
顧客は「利便性」を求めているのか、
それとも「人間味のあるサービス」を求めているのか。
その答えに沿わないデジタル化は、
短期的にはコストを下げても、
長期的にはファンを離れさせるリスクがある、
と警鐘を鳴らしています。
まとめ
この回のポイントは、
「テクノロジーを導入する前に、
自社の『付加価値の源泉』が
どこにあるかを見極める」
という点です。
効率化がサービスの質を削るのか、
あるいは増幅させるのか。
経営者の「眼力」が問われる
戦略的な判断基準が示されています。