第490回 借金、出資の依頼に対する判断基準

この回では、
北岡秀紀氏が、
知人やビジネスパートナーから
「お金を貸してほしい」
「事業に出資してほしい」
と頼まれた際の、
経営者としての
冷徹かつ健全な防衛策と
判断基準について解説しています。

#### 1. 「個人間の借金」は原則として断る

北岡氏は、
個人同士のお金の貸し借りは、
人間関係を壊す
最大の原因であると断言しています。

* **「貸す」ではなく「あげる」覚悟

もしどうしても断れない相手
(親族など)に貸す場合は、
返ってこないものと諦め、
自分の資産に影響がない範囲の金額を
「差し上げる」つもりで渡すべきです。

「貸し」という形にした瞬間、
相手が返せない状況になると、
相手はあなたを避けるようになり、
結果として大切な縁が切れることになります。

#### 2. 事業への出資は「経営権」と「出口」で選別する

投資の誘いに対しては、
単なる資金提供者
(サイレントパートナー)
としてではなく、
経営的な関わり方で判断します。

* **コントロール権の有無

自分がその事業の意思決定にどれだけ関与できるか。

口を出せないのに
責任(資金リスク)だけ負うのは
投資ではなく「博打」です。

* **撤退戦略の明確化

いつ、どのような形でリターンを得るのか。

あるいは、
どの数値まで悪化したら手を引くのかという
「出口戦略」が曖昧な案件には
絶対に乗ってはいけません。

#### 3. 「なぜ銀行から借りないのか?」という問い

まともな事業計画があるなら、
まずは金融機関から融資を受けるのが筋です。

* **リスクのスクリーニング

プロである銀行が貸さない
(=リスクが高すぎる、あるいは信頼がない)相手に、
個人が貸す合理的理由はありません。

「あなただから頼みたい」という言葉は、
多くの場合
「審査が厳しいプロを避け、
情に訴えやすい素人から引き出したい」
という意図の裏返しであると警戒すべきです。

#### 4. 断るための「自分ルール」を持っておく

その場の雰囲気や情に流されないために、
あらかじめ
「一律の断り文句」
を決めておくことを推奨しています。

* **一貫性の保持

「以前、身内に貸してトラブルになったので、
それ以来どんな親しい方でも一律でお断りしている」
といった、
相手の人間性を否定しない
「仕組みとしての拒絶」を用意します。

このマニュアル化により、
意思決定のエネルギーを無駄に消耗せず、
自身の事業に集中できます。

#### 5. 結論:最高の守りは「資産を自分の事業に集中させること」

北岡氏は、
余剰資金があるなら、
他人の不確かな話に乗るよりも、
「自社の成長や、
自分自身のスキルアップに
再投資するのが最も利回りが高い」
と締めくくっています。

安易な投資や貸し付けで資産を分散させず、
自分が最もコントロールできる領域にリソースを注ぐ。

この規律こそが、自分と、
自分の周りにいる
本当に守るべき人々を守るための
経営者の責任であると説いています。

まとめ

この回のポイントは、
「情を切り離し、合理性のフィルターで資産を守る」
という点です。

人間関係を言い訳にせず、
仕組みと規律で金銭トラブルを未然に防ぐ。

経営者としての孤独な、
しかし誠実な決断のあり方が示されています。