第492回 ベンチャー企業への投資話に対する選定基準

この回では、
北岡秀紀氏が、
経営者のもとに舞い込みやすい
「未公開株」や
「ベンチャー投資」の誘いに対し、
「投資家としての冷徹な視点」と
「自社事業との相乗効果」という
2つの軸で判断する重要性を解説しています。

#### 1. 「応援」と「投資」を明確に分ける

北岡氏は、
知人からの依頼などで
「応援したい」という感情が入る場合、
それはもはや投資ではなく
「寄付」であると
割り切るべきだと説いています。

* **感情の排除

ビジネスとしての投資であれば、
情に流されず、
その企業の事業計画や
出口戦略(IPOやM&A)を
冷徹に評価しなければなりません。

「なくなっても構わないお金」
の範囲で行うのが大原則です。

#### 2. 判断基準1:経営者の「やり切る力」

ベンチャー企業の成否は、
ビジネスモデルよりも
「誰がやるか」に依存します。

* **執着心と誠実さ

逆境に立たされたときに逃げ出さないか、
あるいは嘘をつかないか。

北岡氏は、
過去の実績以上に、
その経営者がその事業に対して
「どれほどの覚悟と執着を持っているか」を、
対面での対話を通じて
見極めるべきだと指摘しています。

#### 3. 判断基準2:自社事業との「シナジー(相乗効果)」

単なるマネーゲームとしての投資ではなく、
事業会社として投資するなら
「本業にプラスになるか」
を重視します。

* **リソースの補完

自社が持っていない技術や
顧客層を持っているか、
あるいは自社の既存サービスを
その会社を通じて拡大できるか。

投資先が成長することで、
自社の本業も加速するという
「2階建ての利益」が見込める案件こそ、
経営者が取り組む価値のある投資です。

#### 4. 撤退(損切り)のルールを事前に決める

ベンチャー投資は、
当初の計画通りにいかないことが
「当たり前」です。

* **追加投資の罠

「あと少しあれば成功する」
という言葉に惑わされ、
泥沼式に資金を投入してしまうリスクを警戒します。

「ここまでいかなければ手を引く」
というデッドラインを投資実行前に決めておき、
それを厳守する規律が求められます。

#### 5. 結論:最高の投資先は常に「自社」である

北岡氏は、
他人の事業に投資してリターンを待つよりも、
「自社の事業に再投資して成長させる方が、
コントロールもしやすく、
利回りも高いことが多い」
と締めくくっています。

余剰資金があるからといって
安易に外に目を向けるのではなく、
まずは自社の仕組み化や
マーケティングに投資し尽くしたかを確認すること。

その上で、
どうしても「外」に投資するなら、
自分の理解できる領域
(サークル・オブ・コンピテンス)
に限定すべきだと説いています。

まとめ

この回のポイントは、
「不確実なものに賭けるときほど、ロジカルな基準を持つ」
という点です。

ベンチャー投資の華やかさに惑わされず、
経営者の資質と自社への還元をシビアに評価する。

自分のリソースを
どこに配分するのが最も効率的かという、
経営者としての
根源的な問いに立ち返る内容となっています。